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宇宙に咲く花

ハグコーヒー藤枝店の壁には
一枚のコーヒー豆の絵が飾られている。


行くたびに飽きもせず、
目に心地よくてつい眺めてしまう。

鑑賞する、という大げさなことでなく
コーヒーを飲んで寛ぐ傍らに気配を感じ、目の端に絵がただ
存在してくれている。
それだけで不思議と居心地が良く、
安らぐ気持ちが増す。



その絵の描き手、平松宇造(UZO)さんに会いに、博多のアトリエへ伺った。

中心街から少し離れた住宅地、
此処に?と思うガレージの脇の小さな扉を開けると
階段の先から宇造さんの「どうぞ〜」という柔らかい声が聞こえてくる。


白く細い階段を二階へ上がるとまず迎え入れてくれたのは、
大人の秘密基地のような広い空間に並ぶ、
無数の大きなキャンバスに描きかけの絵と道具たち。


あの絵が、生まれた場所に来たのだ。

宇造さんが淹れてくださったお茶を飲みながら、親しくお話を伺った。



元々広告の世界で長年イラストレーターとしてキャリアを築いたのち、
画家に転身された宇造さん


今では自身の象徴的なモチーフにもなっている「花」を描くようになったのは
実は偶然だったそう。


博多市内にある禅寺で個展を開くことになり、
初めに「蓮」を描いたことがきっかけで、その後、そこから概念を拡張させた
「花」のモチーフを描くようになった。

「花はただ美しく咲く。
ほら、猫みたいに。
誰かの役に立とう、気に入られようと寄ってきたりせず、ただそこに存在している。

それでも見た人は、そこからそれぞれ何かしらを勝手に受け取る。それが良い。」

宇造さんは絵を描くとき、強い意味を持たせては描かない。
むしろどこまで無意識に近付けるか、
直感的に画面と向き合う。
西洋のコンテンポラリーアートの世界では
作家はどうしても《ステイトメント》を求められるが、
宇造さんは《ノーコンセプト》

画面との関係を持たせて考え込ませるより、
すり抜けていくくらいが丁度良くて、
「気配」や「匂い」みたいに、気づく人だけが感じ、
残るのか消えるのかも分からないようなもの
そういうものに留めておきたい——


宇造さんのお話を伺って、
どうしてあの絵があんなに優しい包容力を持ち、すっと心に響くのか——
その理由の一端が分かった気がした。


声高に主張するのではなく、
ただそこに、美しく在る。

そのように描かれた絵だから
見る人を構えさせず、自然と
日常に優しく染み込んでいく。


それは丁度、私たちhugcoffeeが目指し、
大切にしてきた、コーヒーの在り方とも重なることに気付き嬉しくなった。

《日常に優しく溶け込む、
誰しもが愉しめるコーヒー。》



宇造さんの描く絵に心惹かれるのは
そんな在り方に、無意識のうちに
共鳴していたからなのかもしれない。

◾️平松宇造

福岡を拠点に活動する平松宇造は、独自の画風を確立し、国境を越えて世界中に多くのファンを持つ現代美術家である。日本画で用いられる伝統的な顔料を基盤としながら、他に類を見ない繊細かつ緻密な技術によって、静謐でありながら強い存在感を混えた作品を生み出している。

近年、海外からの評価は飛躍的に高まり、オファーは急増。SNSにおいてはフォロワーの大半を海外ユーザーが占めながら、総数は11万人を超えるなど、日本人コンテンポラリーアーティストとしては異例の存在となっている。画家をはじめ、各分野の著名なクリエイターたちがフォロワーに名を連ね、Vogue Hong Kongにおいて「今Instagramでフォローすべき世界の7人のアーティスト」に選出されるなど、その影響力は拡大を続けている。

東洋的な精神性と現代的な感覚を横断しながら、平松宇造の作品は静かに世界へと広がり続けている。その表現は、文化や言語の違いを越え、観る者の内面へと深く浸透していく。


 

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