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オヤマコーヒーフェスで感じたこと

全国津々浦々、いろんなフェスに出店させてもらっている。
その中でも、10月末に参加したオヤマコーヒーフェスは特別だった。
こちらからどうしても出たいとお願いしたところ、快く受け入れてもらえたのだ。

オヤマコーヒーフェスは、「オヤマ」という街を盛り上げようと始まったフェスだと聞く。
僕は胸を高鳴らせながら、フェス前日に会場に足を踏み入れた。

全国から名だたるコーヒー屋が軒を連ね、有名フード出店者も集まる。
会場にはローカルDJの音楽が流れ、コーヒーの香りと混ざり合う。
主催者の熱量をびんびん感じる、特別な空気だった。

夜、藤沼さんの紹介でオヤマの名店を巡る夜行脚も楽しんだ。
「ここ、絶対行ってみてください」と笑いながら案内してくれる藤沼さん。
僕はローカルに入り込むのが得意で、ハシゴ酒の間にお店の人とも仲良くなり、温かくもてなしてもらった。

関東圏ということもあり、普段はECサイトで僕らのコーヒーを購入してくれるお客さんが、わざわざ足を運んでくれたのも嬉しかった。
「来てくれたんだ…!」と思った瞬間、自然に笑顔になった。

正直に言うと、かなり豪華なメンバーが集まる中、コーヒー一本で挑むのは少し怖かった。
「僕たち、本当に戦えるのかな…」とドキドキしながら豆を陳列した。

僕らが持って行ったのは、コロンビア・エルディビソ農園のサーマルショックという生産処理のコーヒーと、hug blend、Decaf、Nicaragua。
初めて試飲してもらうお客さんの表情を見ながら少し心配していたが、予想以上に好評で、
「ここが一番美味しかった」という声も聞こえてきた。
その瞬間、胸の奥に安心と喜びが同時に押し寄せた。

フェスの合間には、他のコーヒー屋さんたちと議論を深める時間もあった。
味のこと、淹れ方のこと、表現のこと――。
その中で強く感じたのは、コーヒーは説明文がとてつもなく長いドリンクだということ。
その説明文をどう表現するか、それがコーヒー屋の仕事なんだと痛感した。

あるコーヒー屋さんが言った。
「美味しくするのに理由なんている?」
その言葉は、まるで顔面に右ストレートを喰らったような衝撃だった。
美味しくなるから楽しい。楽しいから淹れる。それだけを追求して何が悪い?
僕の敬愛する甲本ヒロトを思い出すような、真っ直ぐで熱い感覚だった。

コーヒーを楽しんで淹れ続ける――
それで正解なんだと、強く思った。

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